結城紬のこと

2018.03.16 Friday

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    刺繍と織物はとても近しく、技法によっては厳密にその差がわからないものもあるそうです。
    そんな織りのひとつ、結城紬の組合さんの展示にお誘い頂き、貴重な生産5工程を見せて頂きました。
    刺繍も時間がかかると言われていますが、結城紬の工程に例えれば、私がしているのは5番目だけです。


    1番目は繭玉を開いて5つ分を均等な厚さに揃える(右端の状態に)工程。


    2番目はそれを糸に紡いでいく工程。職人さんによって太さが変わります。
    手の込んだ文様は細い糸が必要になり、適した太さの糸が揃わないと織ることができないそう。傾向として、歳を重ねた職人さんは太くなることが多く、そういった糸は帯などに使うそうです。


    3番目が1番感動した染めの前の縛って行く工程。職人さんの前に編み図のようなものがありまして、柄に合わせて糸を結び、その下が染まらないようにします。
    多色使いの場合は、縛る前の生地を少しずつ脱色などで色を変え、さらにその上を縛る。果てしない…。


    4番目は、それを染めた後の糸です。どれほど細かく、そしてきれいに色が入っているかご確認頂けるでしょうか…
    叩きつけながら浸透させて染めています。


    5番目は織りです。横糸が100本以上ある繊細な仕事、糸が切れた時の繋ぎも見せて頂きました。


    こちらは120万円の反物をかけて頂いたところ。エメラルドがかった美しい水色の絣です。
    写っていませんが、実はすぐ近くに1200万円の反物も…!

    思わず拝むような気持ちになる手仕事。 素晴らしかったです。
    お蚕さんが映っていますが、インスタには最初の工程の動画もアップしました。
    よかったらぜひご覧ください。

    クエイカー教徒のダーニングサンプラー

    2018.02.25 Sunday

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      [サンプラー:少女の刺繍布覚書]

      先日の講義でクエイカー教徒のサンプラーについて知ってから、気になって色々調べている。
      写真は、会場に展示してあるクエイカーのダーニングサンプラー。
      質素だけれどキリッとうつくしい。 そしてとても仕事が細かい。

      クエイカー教徒は、西洋の仏教徒といわれているそうだ。
      以前から、刺繍は結果的な瞑想(意図してする瞑想ではなく)に近い気がしていて、特に7時間、10時間と続いていく作業の時は心が凪いでいないとうまくいかないし、あるいは作業を重ねることで凪いでいくのかもと思う。
      そんな中、金沢先生のおかげで難易度としては最高位、そして清貧なうつくしさのクエイカー教徒のダーニングサンプラーを知った(注 ダーニングサンプラーはクエイカー教徒以外も作る)。
      かつてヨーロッパの少女たちが刺繍を義務的に学んだ意味は複数あって、まずはたとえ孤児院の生まれでも、刺繍がうまければ職につけること。
      サンプラーを学ぶことで読み書きができるようになったこと。
      そして、忍耐力がつくこと。

      手芸界では今、靴下などの穴を繕うダーニングステッチがひそやかなブームで、思いのほか簡単な技法によって捨てるしかなかったものを、とてもかわいく蘇らせることができる。
      繕うことで、捨てずに使い続ける。 この思想もまた、クエイカーの教えにマッチする。
      しかし、端の処理や変形したものの繕い、織物のような模様を出すためには、技術力と集中力が必要だ。
      当時のダーニングサンプラーは、今のダーニングステッチよりはるかに難しい。

      日本のかわいい刺繍図鑑で、袈裟や刺し子、器物の怪などを引用して「捨てない」ことの意味を少し書かせてもらった。
      手元にあるもので、良くする。
      それがいかにすてきなことかは、世界各地に残る、繕われ使い続けられてきた生活の布ーーー青森のボロやベンガル地方のカンタ、そしてクエイカー教徒のダーニングサンプラーなどを見るだけでわかる気がする。
      もちろんすてきだけでは語れない。それらは過酷な環境に立ち向かうための布切れの盾として、作り手とその家族の命を守ってきた。
      だからこそ、それらには心に迫るようなうつくしさが生まれ、けして買えない価値があるのだ。

      当時とは比べ物にならない物資の豊かさがある現代、繕いは捨てないだけでなく、増やさないという決意でもあるだろう。大袈裟だけれど、そのことももう少し、考えてみたい。

      サンプラー:少女の刺繍布

      2018.02.22 Thursday

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        金沢百枝先生の講座「西洋の刺繍の歴史とサンプラー」が先ほど終わったばかりで、興奮しています。
        早く帰って、教えて頂いたことをまとめたい〜&自分でも刺してみたい〜。

        展示サンプラー:少女の刺繍布はまだ開催期間中。もう一度、昼間に伺いたいです。
        神楽坂の工芸青花さんで開催中ですので、ぜひぜひ。
        ダーニングサンプラーをこんなにたくさん、こんなに近くで拝見したのは初めてでした!

        会期|2月22・23・24・25日(木金土日)
        3月1・2・3・4日(木金土日)
        3月8・9・10・11日(木金土日)
        時間|13-19時
        会場|工芸青花  東京都新宿区横寺町31-13 一水寮101(神楽坂)
        監修|金沢百枝(美術史家)


        先生すてきだった〜☆
        ご著書にサインも頂いちゃった〜☆
        けいこさん、すてきな展示を教えてくださりありがとうございます!

        embroidery from Laos

        2016.10.16 Sunday

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          生徒さんからのかわいいLaos刺繍のお土産。
          この面の埋め方は見たことがない! とみんなで興味津々でした。

          帰りの電車の中でも考えていたのですが、たぶん刺し方わかったと思います。
          ロングアンドショートがニガテな人は、これで刺してもいいかもしれない。
          次のレッスンでフィードバックしますね☆

          あーんかわいい。
          私もこういう、動物大集合な図案作りたいなぁ。。どうもありがとうございました!

           

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          北方民族・鮮麗な繍の文化

          2016.01.20 Wednesday

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            ピアノのある古書店ほうろうで、思いがけない一冊に出会いました。
            「北方民族・鮮麗な繍の文化」
            アイヌの衣服の展示図録です。

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            アイヌ文様は、その物を美しく飾るだけでなく、使う人、着る人たちの身を守る魔除けの意味が含まれている。文様には女の文様、これは、女たちが、衣服や装飾品に施す文様で、布と針と糸からつくり出される。男の文様は、木や角などにマキリで彫る文様、彫刻文様があり、主に祭具、狩猟具、食器などを自分たちでつくり、それに彫刻文様を入れる。アイヌの人たちは、幼い頃から、海辺の砂の上などに棒切れで文様を書いて練習をしたそうである。男の子は、代々祖父から父へ、そして子供へと、その家の家紋ともいうべき印、イトッパをはじめ、数々の文様を習い覚えた。また、女の子は祖母や母から刺繍文様を教えられ、遊びながらも文様が頭の中に入ってしまうのである。
            以前、アイヌのお婆さんに、文様の下図を書いてもらいたくて、紙と鉛筆を渡したけれど、書いてもらえない。お婆さんは布と糸を通した針をかしてといって、布地をクルクル回しながら、きちんと納まる文様を簡単に作ってくれた。物差しもへらもチャコも必要のない、頭の中から出てきて手が、体が自然に動くという感じだった。
            (寄稿文 『美しい文様で飾るアイヌの衣装』児玉マリより)
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            文字を持たなかったアイヌのことを文字で説明するには、どうしても限界があるでしょう。それでも文字に頼らざるを得ない私には、仕立て方や文様についても書かれているこの本はとても素晴らしい先生です。
            アイヌは寒くても森林地帯に住み、季節によっては植物繊維もとれたため、広く世界的な意味で、動物皮のみで衣類を作った北方民族とは違うともいえますが、共通点もまた多いようです。
            寄稿文ではアイヌ以外の北方少数民族(ニブヒ族やウィルタなど)にも少し言及があり、興奮しました。ウィルタの衣装もとてもステキだから!
            目的だったライブも素敵で、この本にも出会えて、よい夜でした。

            (旧ブログに掲載した記事の再掲載です)


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            Napoleon's bee

            2015.09.14 Monday

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              1804年、Napoléonが戴冠式に着た大儀礼服に刺繍されていた蜂(赤バックのもの)。
              当時最高の技術を持つ仕立て職人のシュヴェリエ、刺繍職人のピコ、毛皮仕立て職人のトゥレ夫人が手掛けたもので、ふっくらと刺繍された蜂の他、ナポレオンのNや実る稲穂、古典的な月桂樹などの豪奢な植物文様が赤のシルクサテン、シルクベルベットなどに品よく刺繍された1枚は、まさに圧巻です。

              神戸の超絶刺繍展でレプリカを見た時、技法を予想(あくまで、予想)してメモをしてきたのにも関わらず、まったくメモを守らずセーターに刺繍してしまいました。
              でも、薄手のセーターにモールは合わない。
              金糸コレクションの中からやわらかくて傷みやすいレース糸を選び、ふっくらと盛り上がるように刺し上げました。
              白いスカートに散らし柄として刺繍してもステキだろうな〜♡
              夢が広がってしまいます。

              なお、神戸のファッション美術館に飾られたレプリカは1993-5年にかけて「アトリエ・ブロカール」によって仕立てられたもの。
              こちらはオリジナルを仕立てた「メゾン・ピコ」の直系にあたり、復刻にはアトリエが所蔵する当時の資料と、ダヴィットの有名な絵画「ナポレオンの戴冠式」が参考にされたそうです。

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